スーダン訪問記

第8回 現地でのスケジュール-3


Roming(ロミン)でのミーティングを終えて、州都であるTorito(トリト)に向かいましたが、いきなり道路際に白と赤で塗られた石が点々と並んでいるのを発見しました。

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この石が”地雷原”であることのしるしです。
州都は内戦時にとても重要な地域でもあったため、北部スーダンの攻撃から守る為にも数多くの地雷を埋めたのだそうです。
中には車からほんの数メートルの所にまだ未処理の地雷が放棄されている場所があったりします。

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「トリトで簡単な昼食をとり、その日の夕食を手に入れるためにマーケットを視察することができました。
マーケットといっても基本的には露天テーブルに簡単な野菜(トマト、ホウレンソウ、玉ねぎ)、穀物(とうもろこし、米)そして肉(牛肉、羊肉)が並んでいるだけです。
当然冷蔵庫や陳列棚があるわけでもなく、ハエが飛びまわっているのが当たり前の状況です。

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トリトで夕食を仕入れてから、この日の最終目的地であるイメドゥ(Imedu)に向かいました。
実はこの区間がキャンプで最も過酷な場所でした。
窓から入ってくる風はまるでヘヤードライヤーのよう、足元に置いてあるペットボトルの水はすぐにお湯のように温まってしまいます。
でも熱風に当たり続けているので、その”お湯”を飲まないとどんどん体力が落ちていきます。結局3時間くらいの道中で2リットルのボトル2本が空になりました。

またこの区間は野生の動物にも数多く出会うことができました。
ガゼール、バブーン(ヒヒ)、その他名前のわからない大きな猿などが車の前に飛び出してきたりします。

そしてやっとの思いでイメドゥ(Imedu)に到着。
予定では3時くらいに到着するはずだったのに、ついたのは5時過ぎ。
この日はミーティングが出来ず、関係者への挨拶だけでこの日は終わりました。
そして「ここが今日の宿です」と言って紹介されたのは、”ツゥクル”という現地の小屋、土を練って作った壁にカヤの屋根という極めてシンプルなものです。
水を浴び汗でベトベトになった身体をきれいにし、夕食を食べ、スタッフの方々と語らいあとは寝るだけ、、、
ツゥクルに入って、横になったとたんサウナにでも入ったような汗が出てきて、Tシャツは5分でビッショリ濡れてしまいました。
「これは眠れないな」と思いながらも、我慢して横になったら今度は「クルクル」という鳥のような鳴き声が聞こえてきます。
鳴き声の方に懐中電灯を照らしてみるとそこには”ゲッコ”と呼ばれる大きなやもりがいて、こちらをにらんでいて目と目があってしまいました。

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ほとんど眠れない状態で朝を迎え、小屋を出てみると現地の人たちは地面にゴザのようなものを敷いて寝ていました。
さすがに現地の人も暑くて小屋の中では眠れなかったようです。

そして今回のキャンプ最終訪問地「イダレ(Idare)」に向かいました。
昨日暑さで苦しんだ道を戻っていくんですが、朝なのでまだそれほど暑くなる前にイダレに到着することができました。
ここのPHCU(簡易診療所)の隣には小さな山があります。人々は皆この山の上に住んでいます。
というより、この地域の人々は皆山の上に住んでいます。
内戦が激しい頃、夜中に突然トラックに乗った兵士が村を襲って機関銃を掃射したため、全滅になった村がいくつもあるそうです。
人々はそういった奇襲を恐れ、襲われにくく、逃げやすい山の上に移り住んだのだそうです。
内戦が終わって4年経ちますが、人々の脳裏から内戦の恐怖が消えない限り、どんなに不便でも山の上の生活を終えることはないのでしょう。

このイダレでやってはいけない失敗をやってしまいました。
遊んでいた子供たち(8人くらい)に「ピースプロジェクト」のTシャツを配ったまでは良かったんです。
真新しいTシャツに替って写真を撮って、村のボランティアの人々とミーティングをしている間にどこからともなく子供たちがわんさか集まってきました。
そうです。彼らは「Tシャツを配っているらしい」という噂を聞きつけて集まってきたんです。
でも持参した子供用のTシャツはもう1枚もありません。
結局、彼らには期待だけさせて何も出来ずにこの村を後にすることになりました。本当に申し訳ないことをしたと反省しています。

イダレでのミーティングを終えて、トリトで昼食をとりカポエタへ戻る道中とても悲しいものを見てしまいました。
20頭ほどの羊を遊牧している子供がいたんです。
最初はいつもの光景だなと思ったんですが、よく見るとその子供(10~12歳くらい)の背中にはロシア製の機関銃が黒く輝いていたんです。
聞くと、子供でも羊を盗もうとする人間には容赦なく撃つそうです。私たちの常識はここでは通用しないし、「”強く”なければ生きていけない」という当たり前が存在するだけなんです。
でも、「子供の背中に機関銃」という現実は、なまっちょろい私にはとても悲しく映りました。
《キャンプで見たもの》

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株式会社イングラム
代表取締役 加藤勉
*次回に続く